次亜塩素酸水について
アルコール消毒液が不足する中で、代用品として、次亜塩素酸水(じあえんそさんすい)が注目されています。
※令和2年 4月20日現在
次亜塩素酸水とは
次亜塩素酸水とは、pH6.5以下の電解水のことです。
※電解水というのは、食塩水や水道水を電気分解することで得られる水溶液のこと。
pH6.5以下なので、酸性電解水とも言います。
次亜塩素酸水は、各種の病原細菌(MRSAなどの薬剤耐性菌を含む)、食中毒菌、ウイルス(インフルエンザウイルスやノロウイルスなど)に幅広く強い殺菌活性を示します。
そして、その強い殺菌活性により、医療、歯科、食品あるいは農業など多様な分野で利用されています。
2002年に、「人の健康を損なう恐れがない」ということから食品添加物に指定されました。
「厚生労働省による次亜塩素酸水の定義」
塩酸または食塩水を電解することにより得られる、次亜塩素酸を主成分とする水溶液。強酸性次亜塩素酸水と微酸性次亜塩素酸水とがある。
※2012年に、弱酸性次亜塩素酸水も食品添加物として指定。
次亜塩素酸水の殺菌活性
次亜塩素酸水が殺菌活性を持つ微生物・ウィルスは以下の通りです。
【グラム陽性菌】
- 黄色ブドウ球菌
- MRSA(メチシリン耐性ブドウ球菌)
- セレウス菌
- 結核菌
- その他の抗酸菌
【グラム陰性菌】
- サルモネラ菌
- 腸炎ビブリオ菌
- 腸管出血性大腸菌
- カンピロバクター菌
- 緑膿菌
【ウィルス】
- ノロウィルス
- インフルエンザウィルス
- エンテロウィルス
- ヘルペスウィルス
【真菌】
- カンジダ
- 黒カビ
- 青カビ
※殺菌に必要な時間や方法はそれぞれ異なります。
新型コロナウィルスに対する次亜塩素酸水の有効性
今現在(令和2年4月20日)新型コロナウィルスに対して、次亜塩素酸水は効果があると推察されていますが、検証されてはいません。
ですが、独立行政法人 製品評価技術基盤機構 NITE(ナイト)が、経済産業省の要請を受け、「界面活性剤(台所用洗剤等)」「次亜塩素酸水(電気分解法で生成したもの)」等を用いた消毒方法について、新型コロナウイルスに対する有効性評価を行うことを令和二年4月15日に発表しました。
⇒NITEは新型コロナウイルスに対する消毒方法の有効性評価を行います。
追記(令和2年5月16日):エナジックインターナショナル(大城博成代表)・北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターによる新型コロナウィルスに対する次亜塩素酸水の不活化効果の検証
令和2年5月13日までに、エナジックインターナショナル(大城博成代表)と北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターとが協力し、次亜塩素酸水の新型コロナウィルスに対する不活化効果の検証が行われました。
使用した次亜塩素酸水の濃度は、40ppm。
検証の結果、次亜塩素酸水に混ぜたウィルス(1ml当たり1千万個以上ウイルス)が、30秒で検出限界以下まで減少した。
北海道大の玉城英彦名誉教授はこの結果から、
・次亜塩素酸水は新型コロナをほぼ瞬時に不活化している
・次亜塩素酸水は安全で手に入りやすく、アルコールに比べ皮膚への刺激も少ない。新型コロナの感染予防で、手指用の消毒液として推奨できる
と話した。
⇒沖縄タイムス「次亜塩素酸水で新型コロナ不活化(30秒以下で)北海道大学とエナジック社が実証」2020年5月15日 05:00
次亜塩素酸水は医薬品・医薬部外品ではない
次亜塩素酸水は、食品添加物としては認可されていますが、医薬品、医薬部外品としては認可されていません。
ですから、次亜塩素酸水は、ウィルスや病原細菌に対する殺菌・消毒効果が証明されていますが、医薬品・医薬部外品としては販売されていません。
次亜塩素酸水の多くは、薬機法(旧薬事法)に触れない「除菌」や「消臭」という言葉で表現され、除菌消臭剤として販売されています。※殺菌・消毒という言葉は医薬品・医薬部外品のみ使用可。
※一部のネットショップでは、「インフルエンザウィルス・新型コロナウィルスに効果的」といった表現がされていますが、薬機法(旧薬事法)では、次亜塩素酸水に対して、特定の細菌・ウィルス名を表記することは禁止されています。
また、今現在(令和2年4月20日)新型コロナウィルスに対しての、次亜塩素酸水の効果は証明されていません。
次亜塩素酸水の類似品に注意
一般社団法人機能水研究振興財団より、ネットショップ等で販売されている次亜塩素酸水の類似品について注意喚起がなされています。
次亜塩素酸水と表記していながら、実際には、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を希釈したものや、酸性溶液を混ぜて、pH調整したものを次亜塩素酸水として販売していることがあります。
※次亜塩素酸ナトリウムと、塩酸等をあらかじめ混和した水溶液を販売することは認められていません。⇒厚生労働省 次亜塩素酸ナトリウムに酸を混合して使用することについて
次亜塩素酸ナトリウムに対する注意点
次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムは、共に殺菌作用がありますが、違うものです。
次亜塩素酸水は、人体に対して安全で、手洗いや加湿器で使用できますが、次亜塩素酸ナトリウムは、人体に有害な作用があります。
次亜塩素酸ナトリウムは、「ハイター」などに含まれている成分で、新型コロナウィルス対策として、手洗いや空間洗浄には使用できませんが、薄めることでドアノブや手すりなどの消毒に使用できます。
⇒厚生労働省 新型コロナウィルス対策にハイターなどの希釈方法が記載されています。
この記事は以上になります。